行政書士で開業するからには、開業後も最低限食べて行けるだけの収入を確保する必要があります。
行政書士業務は多岐に渡ります。
数ある業務の中からどの業務を選ぶのか。
この選択如何で開業の成否の90%が決まると言っても過言ではありません。
今回は、その業務選択について、考察してみましょう。
行政書士業務の選び方としては大きく2パターンに分けることができます。
- 市場規模がある業務(需要のある分野)
- 自分がやりたい業務(ニッチ分野)
では見ていきましょう。
1.市場規模がある業務
開業する地域にも依りますが、パイ自体が大きいので、上手く行けばやっていける可能性はあります。
例えば、会社設立、建設業などの許認可等行政書士の王道業務と言われるものです。
ただ当然、競合も多いです。
ネット、アナログ問わず、競合他社との差別化を図りその上で価格競争等にも打ち勝つ必要があります。
海千山千のベテラン行政書士や大手行政書士法人とがっぷり四つで戦わなければなりません。
参考:コラム第148回:実務経験無しで百選練磨のベテラン行政書士に太刀打ちできるか?(行政書士開業ドットコム)
総力戦です。
所謂レッドーオーシャンで地道に顧客をこつこつと増やしていく。
新人でもマーケティングや集客・営業に自信がある場合は、十分に戦っていけると思います。
参考:集客はタダではできない
製品ライフサイクルに注意しよう。
市場規模がある業務は、いわゆる「製品ライフサイクル(導入期→成長期→成熟期→衰退期)」が短くなります。参入者も多く、そこでしのぎを削り合うわけですからね。
会社設立業務は会社法施行時は15万円の単価が取れていましたが、今となっては税理士が参入しゼロ円で設立が当たり前の時代。一部の事務所では登録免許税還元サービスもやってます(6万円のキャッシュバックなど)。
これでは早々に一部の業者にその市場ごと食いつぶされてしまいますよね。弱肉強食の世界ですから仕方ないのですが。
ライフサイクルが終わって、業務が取れなくなったら、また新たな業務。
市場規模がある分野へ参入するのであれば、市場がなくあれば次の業務、またその次と矢継ぎ早に新規業務を立ち上げていく経営姿勢が必要になります。
具体的にはどの分野が良いか?
やはり、市場の大きい、「企業法務」分野が狙い目です。王道で行くならやはり許認可業務。
相続などの民事も市場はでかいのですが、競合が士業全般(弁護士・税理士・司法書士・FPなど)、更には、最近では信託銀行等の民間まで参入してますので、現実的に相続だけで食っていくのは厳しいかなと思います。
てっとり早く、企業法務分野の実務力を身につけ、集客していきたい方は、こちらのキットをぜひ使ってください。
実務知識を養う、あるいは書式を自分で作成するための時間コストの削減になります。
事務所運営書式も併せて使うと良いかと思います。
フルセットがお得ですが、業務ごと個別での購入も可能です。
2.自分がやりたいニッチ業務を選ぶ
せっかく行政書士になったのです。
自分がやりたい業務からはじめる。
理念先行でも良いと思います。多少食えない時期が続いても自分がやりたい業務なのですから、苦にはならないでしょう。
その道の専門家・プロになれるまで歯を食いしばって経験を積む。努力して知識の研鑽に励む。
「行政書士として社会貢献したい」という理念と、明確な目標があるのであれば、このような選択肢もありです。
市場が小さな業務でも顧客に喜ばれる仕事をしてコツコツと顧客を増やしていけば、いずれ日の目を見るときがきます。
日本で一番はなかなか難しくても、地域一番であれば、手は届きそうです。
覚悟を持って、自分がやりたい業務でその道を突き詰めていく行政書士の方が長期的に見れば生き残れる可能性が高いと、個人的には思っています。
所謂職人さんのような行政書士です。
参考:コラム第100回:経営を安定させるためにこそ理念が重要(行政書士開業ドットコム)
まとめ
理想は、自分のやりたい業務、自分の好きな業務をやって、食べて行けること。
ただ、残念ながらそう簡単にはいきません。
家族もいる、生活もある。目先のお金が必要なときもあります。
同業も必死でやってきますし、この世界は凌ぎの削り合いです。
手元にある、経営資源をどう活用するか。
「ヒト・もの・金」。
行政書士という職業は、自分の専門性や能力も経営資源です。
その限りある大事な資源を如何にかつどこに投下するのか?
成功するかどうかの分かれ目です。